『声』

いやまだ終わっちゃいない。
俺がどうしてもこの福岡で最前にこだわった理由。
まだそれをやり遂げてない。
みんなと一緒にお祝いしたい。
もちろんそれも大きな理由。
だけどそれだけじゃなかった。


今年の俺の誕生日。
あのコがお祝いの言葉をくれた。
それがホントにうれしかったから。
きっとあのコは忘れてるだろうけど、そんなちっぽけな理由だけど、
どうしても俺の『声』で直接伝えたいと思ってた。


最後の吉澤が会場全体に挨拶してスピーカーの裏へ。
少しだけ会場の歓声が小さくなる。
福岡のステージは広い。
まだあのコはステージ横のカーテンまで歩いてる途中。
会場の歓声にかき消されない様に精一杯の『声』を張り上げる。
何の飾りもない言葉だけれど、ありったけの思いを込めて。


別に返事なんて期待してなかった。
直接耳に届きさえすれば良かった。
でもあのコは振り返って応えてくれた。
俺の思いをのせた『声』に応えてくれた。
そしてカーテンの向こうへと姿を消した。


最高の充実感。
究極の達成感。
互いに抱き合う俺達。
2列目の人拍手してくれてたね、ありがとう^^
田中の最後の挨拶なんてちっとも覚えちゃいない。
やがて流れ出す追い出しの『声』


そう、新垣里沙、17歳の門出となる記念のコンサートは
俺のお祝いの『声』でその幕を下ろした。